前回のつづきで、浅科のK邸探訪について。
今回は特に建物のことを記します。
まずはタイトルの結論から。
田舎では、屋外で過ごす時間が増えます。
・外部空間をどう使うか、
・田舎の厳しい環境から、いかに室内を快適にするか、
当たり前のことですが、田舎の家づくりでこれらは肝になります!!!
そしてこのK邸に関して具体的に言えば、以下の点を設計で考慮したようです。
→ ①室内環境を、「現代の住まいと同じように」快適にすること。
例えば” 古民家の隙間風 ”に一年中耐えられる方は、ずっとその生活をしてきたからだと考えます。
だから” 高気密高断熱な “都会での生活に慣れているお二人に、それは不向きです。
デザインは、土地や人に合わせて行うもの。
設計は20年程前ですが、当時のベストなやり方で断熱を行い設備を整えたので、伺った日も家の中は快適そのものでした。
途中から薪ストーブを焚く時間もまた良かったですね~。
→ ②キッチン中心の家。畑~食卓が循環した生活。
これは、ご夫婦が自給自足のような生活を望んでいたことが大きいです。
奥さまは昔からお料理が好きで、定年後お庭に畑がある暮らしは、頭の中のイメージにあったようです。
実現された生活風景がブログから垣間見れます。
家は広いワンルームを中心に構成されているのですが、キッチンはさらに中心的存在です。
オープンなキッチンとカウンタースペースは、この場とご夫婦に最適のようです。
またそれらを中心に、この家の配置計画や生活動線は、庭仕事も家仕事もしやすそう!!
それが今回伺って私が特に感じたことです。
もっと言えば作業することと寛ぐこと、両方のフットワークを軽くする丁度いい距離感がありました。
以下、工夫を感じた箇所の一部です。
・前述のキッチンカウンターと畑やお庭の関係
・外と中を行き来する出入りのしやすさ(開口部の納まりにも工夫ありです。)
・室内外共に回遊的な動線であること
・畑で採れたものを置く場や土足が気にならない場を所々に
・雨の日も助かる半屋外空間
・そして、リラックスして食べたり飲んだり、景色を堪能するスペースを所々に
こんな感じで、シンプルなプランながら豊かな空間でした。
NOGは、都会だけでなく地方の「野の家」を設計してきました。
それは、今のように移住や多拠点生活が盛んになる前からなので、移住設計のベテランですね✨
田舎の生活は、愉しそうですが忙しそうでもあります。
だから生活の中身から練られたデザインが重要です。
そして、その場所に映えるパッと見のデザインも大事です。
中身あっての外見ですね。
実際わたしはこの家に訪れた時、パッと見で、グッときちゃいました。
GOU設計・S